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自己破産について1
ローンといえども、借金は借金。返済できなければどうなるのか・・?ということで破産に関係した自己破産という緊急手段。伝家の宝刀のように思われがちな自己破産について書いていきましょう。
まずは破産ということから。以前テレビで、金融機関窓口業務をやっていらっしゃる方の体験談を放送してまして、そのなかに「自分は破産したから」という電話をもらうお話しがありました。どうも自己破産とは、”自己申告の破産手続き”と勘違いされているようで、さかんに同じことを繰り返すお客様に困惑したようです。
テレビだから、あえて面白い話のように構成してあるようでしたが、実際せっぱ詰まるとそうなってしまうものかも知れませんね。
破産とは、債務者が多額の借金などにより経済的に破綻してしまい、自分のもっている資産では全ての債権者に対して完全に弁済することができなくなった場合に、最低限の生活用品などを除いた全ての財産を換価(実際のお金の価値として計算)して、全債権者にその債権額に応じて公平に弁済することを目的とする裁判上の手続のことをいいます。
しかし勘違いされやすいのは、この手続きによって借金が全部チャラになるかというとそういうことではなく、それは「免責」決定でない限り消えません。例えばクレジットで商品を買った場合、それは利用者が買う際にクレジット会社が代金を立て替えるということですから、実際は購入者のものではなくカード会社のものということになるので、
返却を求められるでしょう。もし仮に返済できないのを自分で承知していながらカード利用すると「詐欺」でカード会社から訴えられたり、自己破産申請時に「拒否」される可能性もあります。
そしてこれを債権者側ではなく、債務者自ら申し立てることが自己破産。法律的には、
負債も1財産とみなしているので、財産処分手続きということになります。
債務者が財産所有者であった場合、裁判所に自己破産申し立てを行い、破産の審尋がおこなわれ、破産管財人の選出、債務者同士の協議が行われ、処分した財産を債権者に配分する流れとなります。
財産がない場合、自己破産までの流れは、若干、前記とは異なり、自己破産の申し立て、破産の審尋のあと、破産宣告、同時廃止、免責の審尋に続いて免責の決定 となります。
ではこの財産がない場合の自己破産手続きを詳しく見ていきましょう。
まず地方裁判所などで、申し立ての手続きをするのですが、申立印紙代600円(債権者申立1万円)、郵便切手5520円(法人10840円)はかかるようですね。破産手続は弁護士が破産管財人に選任されて行うので、その費用を前もって裁判所に納める必要があります。これは予納金といって、負債総額によって金額が異なり、5000万未満は法人は70万円、一般(個人など)50万円、5000万円以上1億円未満は法人100万、一般(個人)80万、1億円以上5億円未満の場合、法人200万、一般(個人)100万となっています。(このデータは新しい民事再生法まえのものです)自分で行う場合でも3万円程度の費用になります。裁判所に納める予納金が財産がほとんどない場合、2万円程度です。債権者への、連絡などに予納する郵券がだいたい6650円。
この手続きは弁護士に依頼する形をとりますが、その際には着手金と報酬が必要となります。事業者であれば着手金50万円以上、非事業者の自己破産は同20万円以上だそうです。(このデータは新しい民事再生法まえのものです)報酬は弁護士さんによりけりかも知れませんが、非常に高額になる場合もあり、それでいて実際規定通り支払う方も少ないということが多いようです。弁護士に依頼する場合、弁護士代が最低20万円と定められています。
結局分割払いということもあるらしいです。
ご自分でする場合は、申立人の住所地を管轄する地方裁判所に破産申立てをします。裁判所書記官と面談、添付書類等に不備がなければ申立ては受け付けられます。添付書類等に不備があれば追完の指示がなされ、規定の予納金を裁判所に収め、申立てが受理されたら裁判所より受理証明書が発行されます。審尋の呼出状が、裁判所より申立人の住所地に郵送され、申し立てはひとまずこれで終わりです。
次に破産審尋、申立後1~2ヵ月後に破産審尋という裁判官との面接を行います。通常は10人~20人の集団面接で、時間にして5~15分位で終わるそうです。
その後 破産宣告・同時廃止決定(破産者に配当すべき財産がないと判断された場合)
あるいは、異時廃止(破産者に一定の財産がある場合)の決定がされ、次に破産管財人の選任、債権者の協議、財産の処分、換金 のあと配分、破産決定から1~2ヵ月後に、免責審尋という裁判官との面接が行われ、破産審尋と同様に10人~20人の集団面接で、時間にして5~15分位。この審尋で、裁判所が免責を認定し、債権者からの異議もなければ約1ヵ月後に免責決定がなされます。
免責決定が出されると官報で公告。
官報公告の2週間後に免責が確定します。債務者は債権者に対する全債務の責任を免れ、同時に復権します。破産申立てから免責確定までは6ヶ月~1年の期間を要し、加えて、自己破産をしたからといって住民票や戸籍に記載されることはありません。破産により、財産があると、その全財産が管轄、処分権を失います。しかし、身の回りの生きていくうえで必要な生活必需品は処分されません。家財道具も身内の人が格安の値段で買い取り、使用することも可能。差し押さえを禁止しているものが、破産宣告後の労働などの所得により、得られた財産は、破産者は自由に管轄、処分できます。
債権者は自己破産の申立てによって取立行為が禁止されるため、差押えを受けることはほとんどないということなのだそうで、債権者が自宅に押しかけてくるとか、家財道具にベタベタと差押えの赤紙が張られてしまうというイメージは間違っているみたいです。
おおまかですが、破産したからといって、会社から解雇することもありません。ただし、現実には、債権者からの給与の差押えにより、勤務先に自己破産の事実が知られてしまい、退職せざるを得ない状況となる場合が多いですね。
基本的に生命保険を解約する必要もないし、アパートを出て行く必要もありません。破産が賃貸借契約の解除事由になるかどうかは、民法621条や判例を検討する限りでは、土地の賃貸借の場合には借地権に相当の財産的価値があるから、破産したといえども解約申入れについてはそれ以外の正当な理由が必要であるとされ、建物の賃貸借の場合には、賃借人にそこまでのほどは必要ないとしているみたいですね。アパートを借りている場合には解除されてもやむを得ないということになりますが、現実には、家賃を滞納していない限り、賃貸借契約を解除されることはまずないと考えていいみたいです。住宅や自動車のローンがある場合は払う必要がなくなります。
自己破産の条件ですが、申立人(本人)の収入や負債の額を考慮し、「これ以上負債を自分の収入で返済するのが不可能な状態である」ということを、裁判所が認める必要があり、過去7年以内に自己破産をした人や、債務の原因が、高額な買い物や海外旅行などの浪費や賭博、射倖(偶然に得られる成功や利益を当てにすること)行為である場合、自己破産の申立はできません。返済不能の状態で、クレジットで商品を購入したり、偽って借金をしたりもだめです。この条件を満たしていれば、自己破産申請が出来るということになります。
しかし裁判所に申立てれば誰でも免責の許可が下りるわけではありません。たとえば賭博による借金は免責不許可事由の1つに当たりますが、ギャンブルによる借金でもそのギャンブルで借りたお金の返済のために、サラ金などから借金をすることで、多額の債務を負うようになった場合には免責不許可事由に当たらない可能性がありますね。買い物や海外旅行も免責不許可事由にあたりますが、必ず免責を得られないという事ではありません。
自己破産が認められると信用情報機関に登録(ブラックリスト)されるため、7年から10年間ほどは、本人名義の借金やローンが組めなくなります。このブラックリストについては項目を改めてお話します。しかし自己破産と金融機関の利用とは全く関係のない話です。自己破産が認められたとしても、キャッシュカードの作成、預金、振り込み、引き落としなど、自由に行うことができます。制限されるのは、「クレジット」「ローン」などの借金行為。
この前の項目消費者金融のところで少し触れましたが、申請時、もし自分でする場合には自分自身で借金(債務)の一覧表を作る必要があります。書式は特に決まっていませんが、借入先の名前や住所と連絡先、最初に借り入れした日付、最初に借り入れした金額、用途、会員番号やカード番号、残高、保証人がいればその有無などを出来るだけ詳細に記録したものが必要となりますが、問題はいつ借りたかですよね?
借り入れ件数が多い場合など、領収書などが無く、いつ借り入れしたかなどはあいまいであることも多いですが、借入先の情報などは特に、意図的に記入していないなどの場合があると、免責が受けられないなど後々面倒になる場合がありますから、思い出せる限りで全てを記入する事が必要です。費者金融やクレジット会社などの業者から受け取った契約書、借用書、領収書や振込み明細など、本来債権者である金融機関も控えは持ってるものですが、取引履歴の開示請求をしても債権者のプライバシーを考え、処分している場合もあるようです。
その他現在の収入が分かる書類(給与明細など)も必要ですし、預金通用のコピーも過去2年分程度は用意した方がいいようです。
しかしながら、こうした自己破産もデメリットがないわけではありません。破産者に一定の財産があるなどして破産管財人が選任される場合、債務者あてに届けられた手紙は、破産管財人が受け取ることになり、自己破産に無関係な個人的な手紙も、破産管財人選任事案では、郵便物が破産管財人に配達されることになりますが、これは、債権債務の調査のためですので、債務者はこれらの郵便物を閲覧することができ、破産財団に関係ないものについては破産管財人から受け取ることもできます。
長期の旅行や、引越しには、裁判所の許可が必要になります。これは、破産者の逃走や財産隠匿行為を防止するためです。一時的な外出ではなく相当期間にわたり居住場所を離れる場合に許可が必要となります。しかし、実務的には、合理的な理由があれば問題なく許可が出されますので、債務者にとっては特に不利益になることはないといえるでしょう。
当然、マイホームは処分されてしまいますので、どうしてもマイホームを手放さずに債務整理を行いたいと考えている方は個人再生の利用を検討する必要がありますが、こちらはより条件が厳しいようです。
自己破産をするとさまざまな資格制限があり、弁護士・司法書士・税理士などの資格を失うことになったり、会社の役員の資格を失うなどがあります。保険の外交員や証券外交員など、他人の財産を預かり、または管理する業務を一定の資格の下に行っている場合には、自己破産によってその業務を禁止される場合がありますが、この資格制限も免責決定と同時に復権するので、自己破産をしたからといって永久に資格制限がされるわけではありません。
破産手続開始決定が確定すると裁判所から破産者の本籍地の市区町村役場にその旨が通知されて破産者名簿に記載されます。これにより、市区町村発行の身分証明書には破産の記録が記載されることになりますが、社会生活の中で市区町村発行の身分証明書の提出を求められることは非常に少ないので、実際に問題になることはほとんどないといえますね。
一度、自己破産をして免責を得ると、その後7年間は自己破産することができなくなるので、一般人が官報を見ることはまずありませんが、ヤミ金業者などはその情報を元に破産者へDMを送り、再び、破産者を多重債務者に陥れようと勧誘する場合があるそうです。 ヤミ金業者から破産者へのDMによる勧誘・・少なからずこうした事例の報告があるようです。
自己破産の申立てをして破産手続開始決定・免責決定を受けても、保証人には何の影響も及ぼしませんので、保証人は債権者から保証債務についての追求を受けることになります。それに保証契約では債務者の破産申立てが期限の利益喪失事由とされていることが多く、期限の利益のない保証債務が現実化することになり、自己破産の申立てにより、保証人についても今後の対応を検討し考えなければなりません。保証人の支払不能であったり、支払いが困難な状況にあれば、保証人についても法的債務整理が必要な場合がでてきます。ただクレジット会社などは多いようですが、従来どおりの割賦弁済金を保証人から支払うことを条件として一括請求をしないことも少なくありません。
また住宅ですが、住宅に抵当権などの担保が登記されている場合で、その担保額が住宅の時価をはるかに上回るとき(1.5倍程度という取扱いが多い)には、他に価値のある財産がなければ破産管財人が選任されることはなく、破産手続きを終了させる取扱いが多く行われているそうです。ただし、時価の認定方法(固定資産税評価証明書、地元の不動産業者の査定書など)、被担保債権がどのくらい時価を上回っていれば同時廃止が認められるかなどの運用は、各地の裁判所によって異なります。この場合、債務者が債権者の協力を得て任意に売却するか、債権者の競売申立てにより住宅が他の第三者の手に渡るまでは、債務者が住宅に居住することが可能で、その間は住宅ローンの支払いをせず、引越しを行うための金銭的な準備もある程度行うことが可能です。
デメリットは、金融機関に自己破産した旨の登録がされること、マイホームの処分、賃貸契約解除の危険、一定の資格制限、官報、身分証明書への記載、保証人の取り立て、破産管財人が選任された場合、転居の制限があるといったことでしょうか。
次回は、自己破産のも関連した悪質金融業者についてお話ししましょう。